ハンドメイドなコピーベルトが出来上がった事

今週土曜日のWordPress MegaMeetup Japan2022 Springの準備を急ピッチで進めているてんちょーです。
なんか急遽決まったイベントなのに、他所に比べて一番真っ当な企画で参加してるんじゃないかって自画自賛しています…それだけにかじ取りの難しい企画なんですけどね。

さて、しばらく前から自前でコピーベルトを作る話ってのをSNS関係で投稿していましたがようやくそれが(一応の)完成を見る事が出来たので、その顛末と仕様の話を少し書きたいと思います。

Contents

事の始まりは「IoT講座」

そもそもこの企画が始まったのは去年の秋頃に当店のイベントとしてやっていた「IoT(Internet of Thinks)講座」がきっかけです。

ここで使われてたのがRaspberryPiと言う小さなパソコンで、これに色々な周辺機器を組み込んだりプログラムを登録して起動させるとあーんなことが出来る、こーんな事が出来る、と言う話を数回やってみたのです。

画像はRaspberryPi4

で、その企画を考えている際に出てきたのが「LEDパネルとRaspberryPiを組み合わせたら電光掲示板が出来るんじゃね?」というものでした。

実際にそれは11月の講座でやってみる事になり、その時はRaspberryPi1台とLEDパネル1枚を使った簡単なものでした。

確かにそれで電光掲示板自体は完成しました。講座的にも満足でした。
がしかし、それに気を良くしたのか「このパネル複数枚つなぎ合わせたら”コピーベルト”になるんじゃね?」と言う発想が出てきました。

コピーベルトとGoogleで検索すると昨今ではブランド物の革ベルトのコピー品がヒットしてしまうのですが、コピーには「広告文案。キャッチ フレーズ」と言う意味合いもあり、これ一定間隔で流れる様に表示する機器を「コピーベルト」とも言うのです。

当店の場合、営業時間やイベント情報、そもそもコワーキングスペースって何、って言う周知の目的もあり単なる窓ばりポスターでは十分とは思えないものもあったので、ではそれを実際に作ってみようという話になったのです。

試行錯誤を繰り返す

P4屋内フルカラーLEDモジュール、RGB LEDディスプレイパネル、
SMD2121屋内LEDマトリックスモジュール、
1/16スキャン、256 * 128 mm、64 * 32ドット

とは言えハードウェア的な工作はてんちょーは出来ません。
こーしたい、あーしたい、と言う案を出し、実際にそれを作ったのは友人Y氏です。彼は大学時代からの友人で紆余曲折を経て現在は同じ町に住む事になって店内の造作にも色々協力してもらっています。今回もほとんどおんぶにだっこの状態でした。

まずLEDパネルを6枚購入する事にしました。
パネル1枚が13センチx25センチ、ドット数は32×64ドットと言う大きさでこれを一列に並べても文字表示が思った程大きくない事が分かったのと、窓ガラス1枚の開口部分の横幅がおよそ80センチなので横幅25センチのパネルを3枚並べるとちょうど窓ガラスの幅と合う、これを縦2段に並べて2×3枚の組み合わせにしたらいいんじゃないか、と言う事でサイズを決めました。

ところが1列で並べたものなら順当に表示出来るコピーベルトも2列に並べたものを使って表示させようとするとこれがプログラムだけでは御しきれない、と言う事が判明します。
そもそもLEDパネルには背面にコネクタがあり、相互にデータケーブルで接続する事で一体のパネルとして使用する事が出来る様になっています。
ただ、これを単にデータケーブルでつないだだけでは上段は上段、下段は下段で別々に動いてしまう(これはRaspberryPiのGPIOが上段と下段では異なる事に起因する)等、一体のパネルとしての動作には問題が出てしまいました。

そこで上下のパネルを接続するケーブルの間に制御ボードをかませることになりました。
元々このボードはRaspberryPiとLEDパネルを接続させるためのボードだったのですが、更なる機能を持たせるために配線をより複雑化させて上下のパネルを一体表示出来る様にする事が出来る様になったのです。

全体的な配線図(実際にはパネルはもっと密着してる)

上下のパネルの間にかませる制御ボード

こうした試行錯誤を繰り返し2×3枚、64×192ドットのLEDパネルを使ったコピーベルトの基本が出来上がったという訳です。

ソフトウェアもまた試行錯誤

パネルを並べて文字の大きさを確認中

ソフトウェア的にも試行錯誤の連続でした。
まずポイントになったのは日本語の表示。
日本語の表示をさせる為には日本語フォントデータが必要です。またLEDパネルのドット数に応じた縦横の大きさも調整が必要です。

日本語はこうした機器で使用するには結構鬼門になる部分でアルファベットだと縦横8×8ドットでもそれなりに読める文字になるのに対して、日本語の場合8×8ドットではひらがな、カタカナはまだしも漢字は表示出来ません。倍の16×16ドットでも一部の漢字はそれに応じた簡略表示になってしまい、真っ当な感じを表示させるとなると最低でも24×24ドットの大きさが必要になります。

今回はフリーのさざなみフォントを使い、LEDパネル上下一杯に表示出来る様に設定しました。

そして表示させる文言はRaspberryPiの所定のフォルダに指定の名称のテキストファイルを所定の書式で記述すればいいという設定にしましたが、そこに更に「特定のwebサイトから自動的に取得したニュース情報を表示出来たらいいんじゃね?」と言う案が出てきました。

Y氏は以前ネット通販サイトで仕事しており、その際に特定のwebサイトから特定の情報を自動的に抽出するプログラムを使っていた事もあり、今回もそれの改良版と言う事でNHKニュース、tenki.jpの天気予報、日本経済新聞のwebサイトから為替の情報を自動で取得出来る様にしました。

テキストファイルの書式は下記の様になります

////////////////以下テキストファイル///////////////

(任意の文言) (Tab) (色指定の数値) (Tab)  (文字速度の指定)
[特定webサイトから取得した情報]

////////////////以上テキストファイル///////////////

任意の文言の部分はコピーベルトに表示させる文章になります。基本的には平文のテキストです。タブで間をあけて色指定の数値設定をします。ここはRGBの3つの情報を0~255の数値でカンマ区切りで指定します。色々な色を試しましたがLEDパネル自体がブラックなので文字の色は白が一番映える、と言う事でR255、G255、B255で指定しています。

最後の文字の速度は1~5で指定出来、小さいと遅く、大きいと早くする事が出来ます。ちゃんと文字を追って読める速度とすると2か3辺りが順当と言う事で今回は2に指定しています。

更に[]で括った部分は特定webサイトから取得した情報を指定する文言を入れる様になっており、NEWS、WEATHER、ECONOMICの文字で指定できる様になっています。

そしてこのテキストファイルは順番に読み込み表示処理をすると最初に戻る(ループ)様になっています。
なので任意の文字の部分は一旦指定すると1日中同じ文言を表示し、[]括りの部分は繰り返す際に最新情報をピックアップするようになっているので常に最新のニュース、天気予報、経済情報を表示するようになる、と言う訳です。

ワイヤーネットに固定したコピーベルトを動作確認中

設置もまた試行錯誤

ワイヤーネットにLEDパネルを取り付け、不要部分をカッターで切除

出来上がったパネルを窓枠に設置する、これも試行錯誤の連続でした。
LEDパネルの背面にはネジ止め用の穴が空いているので、単純に板に穴をあけてネジを通せばパネルの固定は出来ます。

しかしそれでは配線関係が工作出来ません。と言うか配線全部済ませてからパネルを板に取り付けるってのも出来るのですが後々のメンテナンス性等も考えるとあまりいい策とも思えませんでした。

そこでパネルの固定に使ったのがダイソーで売ってるワイヤーネットです。
かつてはワイヤーネットはホームセンターで売ってる物でしたが、最近は100均で売ってるものが安価で種類も豊富なので逆にホームセンターでは扱わなくなってしまいました。今回は29.5センチx80センチのワイヤーネットを購入し、これに穴あきのメタルスティを使って挟み込む様な方法でLEDパネルを固定しました。
データケーブルの配線に際してワイヤーネットが干渉する部分はネットそのものをワイヤーカッターで切る事で解決しています。

一方上下のパネルの接する部分はホワイトウッドの板に穴をあけて固定し、合わせてRaspberryPiや制御ボードを設置できる様にしてみました。

サッシとブラインドの僅かな隙間に井桁に組み合わせたイレクターを差し込み固定

またLEDパネルを動作させるのには直流5vの電力が必要ですが、これも6枚同時に動作させる為にスイッチング電源を使う事になり、この固定も端材のベニヤ板を使ってみました。

そしてこうして組み立てたパネルを窓ガラス越しに固定するのには今回はイレクターを使う事にしました。
理由は窓のサッシとブラインドの狭い隙間に固定出来、木材の様にたわんだり歪んだりしない事、また突っ張り坊的な固定方法で窓枠にも傷をつけない様に出来る事を考慮して決めました。

まずイレクターを窓枠の高さで2本揃えて上下アジャストできる支えパーツを使って突っ張り棒の様に固定し、これに横渡しする様に上下2本の棒を固定します。
空いた枠の部分に上記で作成したLEDパネル固定のワイヤーネット、ベニヤ板に固定した電源ユニットを組み合わせて固定、最後に電源ユニットとRaspberryPiに給電する電源線を窓枠の下から取る様にして一応これで完成と言う事になりました。

まだまだ試行錯誤

実際に使用している様子。コピーベルト↓に電源ユニットを固定したベニヤ板が丸見え。

実際に運用出来る様に出来たコピーベルトですが、まだまだ改良の余地は沢山あります。
最大の問題は電源装置が現在窓の外から丸見えになっている点です。
これはサッシとブラインドの隙間にLEDパネルとRaspberryPi、制御ボード、電源を配置するだけの余裕がなかったので結果的にこうした配置になっています。

そもそもはLEDパネルに付属してた電源ケーブルが短いからこの様な無理やりな配置になってるってのもあるので、この線をもっと長く伸ばせれば電源ユニットそのものを窓枠の外に配置出来るかもしれません。

これについては取り合えず何らかの方法で電源ユニットが外から見えない様に目隠しする方法を考えたいと思います。

パネルとパネルを接続するデータケーブルもフラットケーブルであり、これもLEDパネル付属品をそのまま使っているのでこれもネックになってる部分です。
フラットケーブルは複数の銅線を平たく並べているものなので結構な硬さと弾力性があるので今回の様にLEDパネルを密接に並べると長さの余ったフラットケーブルが畳まれずおさまりが悪くなってしまいます。なのでこれも必要な長さに切り詰める方が今後はいいかもしれません。

LEDパネルの固定も今回はワイヤーネットを使いましたが将来的にはアクリルボードを使った方がいいかもしれません。木の板にLEDパネルを取り付けるとなるとどうしても穴の位置がずれてしまって穴の拡張や開け直しと言った作業になりますし、今回の様にワイヤーネットの上に更にメタルスティを使った固定だと厚みを回避するのは難しいです。

その点透明なアクリルボードだと適度な強度と穴開け位置の確認が容易に出来る点、データケーブルを必要とする位置も確認しやすく、加工もドリルやカッターを使えば木の板より簡単に加工出来ますので次回はそうしてみたいです。

最後に

駐車スペースに車を停めても歩道から文字が読める様に高い位置につけてます。

このハンドメイドコピーベルトの最大の特徴は「任意の文言をいつでも作成/表示出来る」点と「指定のwebサイトから情報を自動で取得して表示出来る」点にあります。


任意の文言をいつもで作成/表示出来るコピーベルト、電光掲示板はそれ自体はAmazon等でも1万円前後で購入が出来ます。この場合文言の作成は主にスマホを使い、スマホ側に専用アプリをインストールする事でこれを可能にしています。
多くの人がスマホを持つ時代ですのでこれ自体は手軽でいいかと思いますが、やはり尺の長い文言が必要な場合等はスマホよりPCになるでしょう。


PCからの接続は基本的にネットワーク越しになります。これはRaspberryPi側にSambaと言うファイル共有の機能が組み込まれているので、Windowsパソコンからネットワーク接続してるパソコンを探し出すとアクセス出来る、と言う構造になっています(勿論他者から不用意にアクセス出来ない様に十分に注意はしてあります)。
そして所定のフォルダにあるテキストファイルをWindowsパソコンのテキストエディタで編集する形になるので、尺の長い文章も楽に編集できる、と言う訳です。
書き終えた文章も普通に保存すればOKです。webから情報収集するプログラムは起動→テキスト読み込み→web情報読み込み→LEDパネルに表示→テキスト読み込み を繰り返していますので、テキストデータはLEDパネルで旧データを使った表示が行われている間に更新しすればループした次の時点で新しいテキスト情報を読み込みますので、いつでも更新出来る、と言う事になるのです。

更に「指定のwebサイトからの情報を自動で取得して表示する」点については、今回はNHKニュース、tenki.jp、日本経済新聞社webを取り上げていますが、この情報取得先についても変更は可能ですし追加も可能です。

実はてんちょー自身もY氏に対して「千葉日報の情報やスポーツ関係の情報を取得できないか」と打診しています。
千葉県で運営しているコワーキングスペースですから千葉の情報は大事です。この話を打診したのも前日に千葉ロッテマリーンズの佐々木投手が28年ぶりに完全試合を達成したからです。千葉県内で起きてるイベントとしてはやはり大きなニュースですしね。

この他にも千葉県内のプロスポーツと言えばJリーグの柏レイソル、ジェフユナイテッド市原千葉、プロバスケットボールBリーグの千葉ジェッツ、プロバレーボールVリーグの千葉ゼルバ、社会人アメリカンフットボールXリーグのオービックシーガルズ、他にもフットサルのバルドラール浦安、関東サッカーリーグのボンズ市原、ブリオベッカ浦安、女子サッカーのジェフユナイテッド市原千葉レディースオルカ鴨川等々数多くのプロスポーツチームが千葉には存在します。
これ以外にも千葉県内では館山、木更津、九十九里で毎年トライアスロンが開催されていますし、ロードバイクのイベントも各地で多く開催されています(その為の専用車両がJRにはありますし)。がしかしNPBとJリーグ以外はTVのスポーツニュースでも大きくは取り上げられません。
自動でwebから情報を取りこめるコピーベルトならこうした小さな情報も順次取り上げる事が出来る可能性があります。

まだまだ色々な可能性を秘めているコピーベルトですが、この記事を読んで興味を持った方は是非てんちょーにご相談ください。
見積や導入サポートなど色々ご協力いたします。

追記)
今回のコピーベルト作成について、実質的な作者である友人Y氏のブログにプログラム関係の詳細記事が投稿されました。
興味ある方はどうぞご覧ください。

吉川万能IT研究所ーRaspberry Piで電光掲示板を作る
吉川万能IT研究所ーRaspberry Piで電光掲示板を作る(発展)

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